作品の掲載
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窓から西日が射している
お前は毛糸をたぐりながら
一日を編んでいる
あさぎ色のセーターの形に
はるかな山並みは
藍色のシルエットになっている
私はギターを弾きながら
時間を紡いでいる
いつまでも
こんな夕方があればいいと思いつつ
おまえの頬をオレンジの夕日が染めている
肩にかかる長い髪
結ばれた美しいくちびる
いろんなことがあって
おまえはそれでも
私の部屋の椅子に座っている
おまえはそのときまだ二十一
そして私はそのときまだ二十三
無責任で
それほど深い暮しも考えなかった頃
窓からは西日が射し込んでいる
私たちの恋の名残は
椅子の背に掛けられたセーターに
昔日のほのかな陽だまりをつくっている
お前は毛糸をたぐりながら
一日を編んでいる
あさぎ色のセーターの形に
はるかな山並みは
藍色のシルエットになっている
私はギターを弾きながら
時間を紡いでいる
いつまでも
こんな夕方があればいいと思いつつ
おまえの頬をオレンジの夕日が染めている
肩にかかる長い髪
結ばれた美しいくちびる
いろんなことがあって
おまえはそれでも
私の部屋の椅子に座っている
おまえはそのときまだ二十一
そして私はそのときまだ二十三
無責任で
それほど深い暮しも考えなかった頃
窓からは西日が射し込んでいる
私たちの恋の名残は
椅子の背に掛けられたセーターに
昔日のほのかな陽だまりをつくっている
さよならは
船着場のあたりに捨てられて
それから
私は旅に出た
夕方の空はとても美しく晴れていて
私はそのとき
すべての私を捨ててもいいと思った
さよならは
展望台のベンチの脇に捨てられて
それから
きっと何人かの少女に拾われただろう
私の旅はまだ終わらない
夏が去れば
海は本当の顔を取り戻す
さよならは
道端の草叢に捨てられて
それは
ほんとうはありえないことだと
それでも
さよならはいつまでもいつまでもと
つぶやきつづけている
私は何を探しているのだろうと
ふと思うことがある
何も探さないことを探しているのかもしれないと
ふと思うことがある
あなたがさよならと言う前の町は
今は無いのに
そして
見知らぬ町は
いつも
あなたがさよならと言う前の町なのに
船着場のあたりに捨てられて
それから
私は旅に出た
夕方の空はとても美しく晴れていて
私はそのとき
すべての私を捨ててもいいと思った
さよならは
展望台のベンチの脇に捨てられて
それから
きっと何人かの少女に拾われただろう
私の旅はまだ終わらない
夏が去れば
海は本当の顔を取り戻す
さよならは
道端の草叢に捨てられて
それは
ほんとうはありえないことだと
それでも
さよならはいつまでもいつまでもと
つぶやきつづけている
私は何を探しているのだろうと
ふと思うことがある
何も探さないことを探しているのかもしれないと
ふと思うことがある
あなたがさよならと言う前の町は
今は無いのに
そして
見知らぬ町は
いつも
あなたがさよならと言う前の町なのに
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