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雨が降っている
白い傘を広げて
おまえはバスを降りてくる
初夏の午後
待った?と
いつものように笑いながら

きのう……と言いかけて
私は思わず口を閉ざす
おまえが
またね と片手をあげて
階段を下りていったのは
もう十年以上も昔のこと

この雨の駅に降り立つまでに
いろんなことがあったはずなのに
私は何ひとつ思い出せないでいる
夢の中で
最初からなかった物を
探している時のように

それでも
おまえの手をしっかりと握っている子供は
ほのかな痛みを連れて
歳月の流れを確かなものにしている
出逢った頃のおまえと同じ目をして

雨が降っている
おまえは 待った?と笑いながら
バスを降りてくる
十年の歳月を一夜に閉じ込めて
この見知らぬ町の
初夏の午後に
時の彼方の町 2012/09/25(火) 04:04 編集 削除
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