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この道は
何度か通ったことがある
誰もが通るたびにそう思う
この道は
誰もが通るのに
私だけの思い出の道だと
みんな そう感じている

この道は
沈丁花の香る道
打ち明けられなかった恋心
夏の夜風が髪を撫でる道
何もことばはいらなかった
落葉に木漏れ日のゆれる道
ひとつがひとつによって償われて
身を切る木枯らしが吹きすさぶ道
おまえの涙
私のコートの中で 恋は終わって

この道は
何度か通ったことがある
忘れえぬ面影を連れて
夕陽に向かってひとり歩きながら
ふとそう思う
時の彼方の町 2012/09/25(火) 18:00 編集 削除
とどかぬものへの罪を
どうやって償えばいいのだろう
海は荒れている
暗い船の陰に
不思議な人はまだ佇んでいる

泣いてはいけない
悪いのは私
あなたは少しも悪くなんかない

波止場に来たのは
写してしまった数え切れない写真を捨てるため
そして
止まったままの腕時計をもう一度動かすため

風に逆らってカモメが飛んでいる
あなたがあまりに深く愛してくれたから
心は
船出した
あなたのとどかない海の彼方まで

それはとても辛い別れ
取り返しのつかない罪
だから
泣いてはいけない
悪いのは私
貴方は少しも悪くなんかなかったんだから
時の彼方の町 2012/09/25(火) 17:59 編集 削除

木は静かに立っている
祭には
ほのかな悲しみがある
絡み合う昔と今と

木は
夕日の中で静かに立っている

あしたを信じはしないが
この道は知らない日へとつづいていく

幹に彫られたナイフの傷
いつまでもつぶやきつづける
恋の名残

バザールには
確かな生き様がある
そのごちゃ混ぜの賑やかさがいい
汗ばんだ背中をふっとかすめていく
夕方の風がいい

残照の中で
木は静かに立っている
おまえはもう
その幹にもたれて私を待ってはいない
遥かな時のさざめきの中で
一日は美しい
時の彼方の町 2012/09/25(火) 17:58 編集 削除
十一月
落葉の並木道を
どこまでも歩いたことがあった
手もつなげずに
だまったまま
心ばかりが熱くめぐって

十一月
通り過ぎるバスの窓にふっと
懐かしい人影を見る
乗っているはずのない娘
セーラー服の声ははずんで

十一月
公園のベンチに日が差している
君が作った歌は
僕のギターで
僕が作った歌は
君の声で・・・・
そんなことを誓った日が
あった気もして
時の彼方の町 2012/09/25(火) 17:57 編集 削除

駅の小さな植え込みに
パンジーがあふれている
向こう側のホームに
君はまだ佇んでいる
電車は出ていったのに

僕の心は夕日の中で
激しく駆け巡っていた
どうすれば
いちばんいいのだろうと

駅の小さな植え込みに
色とりどりのパンジーがあふれている
向こう側のホームに
十年前の君は
まだ佇んでいる
陽炎の彼方から
電車はゆっくりとやってくる
時の彼方の町 2012/09/25(火) 17:57 編集 削除
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