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おまえと電車に乗れば
外は雨
夕暮れの暗さに光る銀の雫の
斜めに伝う窓にひととき
ぼくとぼくにもたれるおまえが映る
その厚いガラスの向こうに
梅雨のネオンが過ぎていく
置き去りにしたもの 2012/09/25(火) 13:51 編集 削除
変ってしまうものなど
何もありはしない
あなたが生まれ
少女になり
おとなになって
死んだあとにも
野菊は咲く

都会の賑やかな雑踏の中に
春の風は吹いている
めくるめくネオンの消えた頃
あなたはそれに気づくだろう
変ってしまうものなんて
何もありはしない
変らないものは
何一つないのだから
置き去りにしたもの 2012/09/25(火) 13:38 編集 削除
ふと駆け出して
私を離れたことばが
あなたに私を決めさせ
私に永遠の嘲りとなって戻ってくる

もはや
償いようもない囚われの身のことば
あなたの中で

仮面をつけた私が笑っている

誰が本当の思いをわかってくれるだろう
誰も本当の思いをことばに換えられないのに

伝えられぬまま膨らんでいく
熱いものが
私の胸の中でガラスの破片になる

貧しすぎることばに
豊か過ぎる感情を託して
私はあなたの心に私を積み重ねる
そして
あなたの心の中に
私は私ではなく生き始める
置き去りにしたもの 2012/09/25(火) 13:31 編集 削除
手を伸ばせばそこに
豊かな胸があり
手を伸ばせばそこに
美しい唇がある
手を伸ばせば
しかし
おまえは遠く
手を伸ばせば輝く5月
長い睫の影に
海は光って
手を伸ばせばそこに
白い指先が線を引く
陣取り遊びのように
越えてはならない線を引く
置き去りにしたもの 2012/09/25(火) 13:30 編集 削除
あまりに激しく
あまりに速く
夏は通り過ぎていった
草や木はいっせいに花をつけ
虫たちは自らを命の限りに顕示した

灼けつく太陽の道で
私たちは何度も唇を重ねた
迫りくる別れの予感を追いやるように

神話や伝説は
閉じられた白日に存在を結び
駈けて行く少年の後姿に
老いた猟師の額のしわに
烙印のように押されていた

私たちは
私たちと夏がどんなふうに結ばれているか
知ったのだ
叶えられぬ欲望さえも
さりげなく満たし
絵空事に換えてしまう
幻の季節よ

彩られた全ての者たちの間を抜け
偽りの華やかさに隠れて
私たちは愛し合った
限りなく信じあい限りなく背きあいながら
お互いの遠い過去と
遠い未来のために
置き去りにしたもの 2012/09/25(火) 13:29 編集 削除
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