作品の掲載
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葡萄の実をひとつぶ
口に入れて
あなたは笑った
あなたの後ろの窓は開いていて
時計塔が見えた
階下では
あなたの妹がピアノを練習していた
途切れがちなメロディーさえ
午前10時の静けさには
心地よかった
丘の上の喫茶店から
ぼくは
眼下に広がる町を眺めている
町は初秋の日差しに光り
あなたの家の赤い瓦屋根と
その傍にある
白亜の時計塔が見える
いつのまにか
いなくなってしまったあなたが
どんな暮らしをしているのか
ぼくは知らない
ただ
今になって
何気なく時を過ごしてきた
あなたの部屋の情景が
ほのかな痛みを連れてぼくの胸を通り過ぎるのだ
この店の椅子に座って
あの日のメヌエットを聞くたびに
口に入れて
あなたは笑った
あなたの後ろの窓は開いていて
時計塔が見えた
階下では
あなたの妹がピアノを練習していた
途切れがちなメロディーさえ
午前10時の静けさには
心地よかった
丘の上の喫茶店から
ぼくは
眼下に広がる町を眺めている
町は初秋の日差しに光り
あなたの家の赤い瓦屋根と
その傍にある
白亜の時計塔が見える
いつのまにか
いなくなってしまったあなたが
どんな暮らしをしているのか
ぼくは知らない
ただ
今になって
何気なく時を過ごしてきた
あなたの部屋の情景が
ほのかな痛みを連れてぼくの胸を通り過ぎるのだ
この店の椅子に座って
あの日のメヌエットを聞くたびに
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