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あどけない会話があって
海は空とつながってるのだと主張して
あの子とこの子は
おはじきを分けあって

夢なのかもしれない
私はあの天地のまどろみの
幻影にすぎないのかも

老人は子供たちに訓示する
同じことを
何度も何度もくり返して

子供たちは聞いているふりをする
ビー玉を弄びながら

愛さないうちに愛してはいけない
愛せないかもしれないから

空は星を抱いている
あの子とこの子は
流れ星に願いごとをする
もうひとつ流れ星を見たいと願っている
老人はだまって
子供たちを見守っている

時は
何を運び去っていくのだろう
幾万年の歳月は
何をもたらしてきたのだろう
過去と未来に狭間に立って
私は永遠の扉を手探りする
置き去りにしたもの 2012/09/25(火) 13:17 編集 削除
きのうの彼方遠く
色あせた写真のように
ひっそりした風景がある
線路に釘を置いている子供がいる

蛙を殺している子供がいる
枯れ草に火を点けている子供たちがいる

少年よ少年よ
昼下がりの日を浴びながら
おまえはここにいる

十数年の時を経て

叱られることも怒鳴られることも
禁じられることさえ今はなくなって
おまえは
ひとりぼっちでここにいる
置き去りにしたもの 2012/09/25(火) 13:15 編集 削除
どこへ行ったのだろう
橋のたもとで泣いていた私
どこへ行ったのだろう
麦笛を鳴らしていたあの子
どこへ行ったのだろう
葦の葉を揺らしていたさざなみ

どこへ行ったのだろう
今はひとり
寄せてくる黄昏の岸辺に立って
どこを探しても少年期はいない
隠れたまま出てこなかった
隠れんぼの友だちのように
祭の後の境内の静けさのように

どこへ行ったのだろう
散りばめられた満天の星たち
どこへ行ったのだろう
長い髪をなびかせて駈けていった
後ろ姿

故里の夢の彼方へ道は白く続いている
目を凝らせば
消え残る夕焼けに
遊動円木がゆれている
置き去りにしたもの 2012/09/25(火) 13:13 編集 削除
時の嘘
流れる時の嘘

くり返し日は照り
くり返し鳥は渡って

石のことば
木のことば
大地のささやき

雨が降り
少女の傘は風に飛ばされ
子供たちが泣いている間に
遠い文明の興亡がある
置き去りにしたもの 2012/09/25(火) 13:10 編集 削除
帰りを急ぐ
優しい君の背中のために
ひとつのさりげない歌が要る

夕暮れ
一冊の小説を買う君は
こんなにも孤独だ

夜の食卓を思うとき
君の口元に曖昧な微笑が浮かぶ

しかし
バス乗り場の雑踏は
知らず知らずに君をうつむかせる

広げられる新聞の音や
咳や溜め息の中
願いは叶えられずに影を潜め
期待は裏切られて
心の淵へ沈んでしまう

そんな
日々の魂の傷を癒すために
ひとつのさりげない歌が要る

ふと耳元をかすめて通り過ぎる
春風のような子守唄が要る
置き去りにしたもの 2012/09/25(火) 13:08 編集 削除
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