■ 飛騨 甚 詩集
― 「さくら小路」~さくらユニバーサルの作家たち ―
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不幸と苦労
あそこで飲んでる奴は誰でぇ
あいつは「不幸」ってんだ
えらく暗い奴じゃねぇか
あいつの女房は「絶望」ってんだ
その隣の女は誰でぇ?
あいつは「苦労」ってんだ
それにしちゃ明るいじゃねぇか
あいつの旦那は「希望」ってんだ
酒月草紙
2012/09/25(火)
15:37
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朧の中の未来
かなりの湿度と
月光と
わずかなお酒と
草花の仄かな香気を
うまく混ぜ合わせると
朧ができます
そこでは
遠い町に住む人や
過去の町に住む人と
自由に会うことができます
なぜなら
朧の中では
距離の壁も時間の壁も
溶け合うからです
でも
未来だけは
名もなく存在もなく
いつも
真っ更な顔で
7色の絵の具を持って
やってくるようです
酒月草紙
2012/09/25(火)
15:34
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酒盛
おい「未来」!
「シアワセ」の奴が酒下げて来たぞ
こいつはまた朝までか
ついでだから「祝福」と「感謝」の奴も
呼んでこい
酒月草紙
2012/09/25(火)
15:32
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困った
これはどうも困ったね
コーヒーカップの周りにも
レーズンパンの側にも
時計の横にも
新聞の上にも
かわいい顔が行き来して
酒月草紙
2012/09/25(火)
15:29
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混沌
「混沌」は魅惑的で
煌めく世界をもたらしてくれるかに見えるが
それは
「混沌」が身に纏っている鏡のせいで
あなたの願望が映っているだけなのだ
特に
こんなはずでは・・・と思っている時に
「混沌」に出会ったら
気をつけなければならない
見極める方法は
「混沌」はまずあなたの今を哀れみ
手の届きそうなところに
あなたの願望で織った
ばら色のタペストリーを広げて見せることだ
さて
私の名は・・・
酒月草紙
2012/09/25(火)
15:23
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