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フローラの祭り

遠い町にはもう
春がやってきているだろう
おまえの住む町にはもう
杏の花が咲き始めているだろう

ずっと昔に暮らした
美しい町

舗装されていない道を
私たちはいつも好んで歩きつづけた
その道はつきることなく
遥かな山並みの方までつづいていた

春は雪解けの川のほとりから
山の中腹へと染めていく
おまえは花の中に座ってノートをひろげ
私のギターは風になって
おまえの歌を追いかけていく

何に惑わされることもなく
誰に咎められることもなく
私たちが恋人という名で生きられた
遠い日々

もう行くこともない時の彼方の町に
春風が吹くたび
おまえは
誰とフローラの祭を祝うのか
時の彼方の町 2012/09/25(火) 17:49 編集 削除
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