砂塵 - ■ 飛騨甚　詩集　

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ラストシーン

沖合いで船のエンジン音がする
歩きましょと
腕を絡ませながら
彼女が言う

二人ともラストシーンは素敵なほうがいいと
思っていて

砂塵 2012/09/25(火) 14:40 編集

もう描くこともないと思った花の絵を
１０年目に描く
花の形を借りて

お前の正体は
どうも人ではないような

砂塵 2012/09/25(火) 14:39 編集

これ食べたら死ねるのねと
昔
まじめな顔して言った女がいた
コバルトバイオレット弄びながら
私この色好き　と

そいつはいつもそこにいて
俺もただそこにいて
それでも夢だけはあって

砂塵 2012/09/25(火) 14:38 編集

キャンバスはまだ白い
キャンバスのむこうには
いつも海が続く
ニースの海
マドラスの海
おまえはキャンバスのむこうで
サンバを踊っている

砂塵 2012/09/25(火) 14:36 編集

今夜
お前はグラスに氷を入れて
金の水割りを作る
その指先が不思議に可愛いのを
俺は見ている
おまえのルージュに
キャンドルの灯が点る
瞳の中に
遥かな街の明かりがゆれる

砂塵 2012/09/25(火) 14:35 編集

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