■ 飛騨 甚 詩集
― 「さくら小路」~さくらユニバーサルの作家たち ―
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初夏の風
ガラスの向こうを
着飾った若い娘が歩いていく
私はもう三十を過ぎてしまった
この町を離れられないのは
別に
取り立てた理由があるわけじゃない
ガラスの向こうを
初老の工事人夫が歩いていく
おまえは私よりふたつ年下だった
今もそれは変りようのないこと
十年前に流行ったハードロックを
今も好き
ガラスの向こうを
初夏の風が優しく過ぎていく
今もそれは変りようのないこと
私は
Tシャツにジーンズのおまえを
今もいちばん美しいと思うのだ
時の彼方の町
2012/09/25(火)
18:09
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